機能範囲
引き継ぐ必要がある既存の画面・操作・機能を特定します。
半導体業界の装置は稼働期間が長く、複数の製品世代にわたってアップグレードされていきます。装置制御ソフトウェアは引き続き運用要件を満たせる一方で、以前にデスクトップ基盤で開発されたHMI(Human-Machine Interface)は、保守や機能追加、操作画面のカスタマイズが次第に難しくなることがあります。
装置メーカーにとって、HMI刷新は表示技術を変えることだけではありません。より重要な課題は、画面の基盤を移行し、既存の機能を引き継ぎ、制御ソフトウェアとの統合を維持しながら、将来の変更に対応しやすくし、AIとの親和性も確保することです。
ARISは、HMI、Equipment Control、Host Communication、Simulatorを含む、半導体製造装置向けソフトウェアの共同開発の経験を持っています。
特に、ARISはHMIシステム全体をデスクトップアプリケーションからWebアプリケーションへ移行するプロジェクトに直接参画し、ReactJSとTypeScriptを使用するとともに、アプリケーションを再ビルドせずに実行時(ランタイム)に画面構成を変更できる仕組みを実装しました。
本記事では、ARISが実装してきた技術的な取り組みと、産業装置のHMIを移行・刷新する際に検討すべき点をご紹介します。
HMIは画面表示だけで構成されるものではありません。オペレーターが装置の状態を監視し、操作を行い、制御ソフトウェアが提供する機能とやり取りする場でもあります。
そのため、デスクトップHMIからWeb HMIへの移行は、単に新しい技術で画面を作り直すことではありません。
移行の過程で検討すべき点は次のとおりです。
引き継ぐ必要がある既存の画面・操作・機能を特定します。
HMIと制御ソフトウェアのあいだの接続点と、情報をやり取りする仕組みを確認します。
新しい基盤に移行しても、運用に必要な機能を維持できるかを評価します。
HMIの機能と、自動化やAIのソフトウェアコンポーネントとの連携を検証します。
ARISはFull HMI Migrationに参画し、一部の画面を個別に開発・置き換えるのではなく、HMIシステム全体をデスクトップアプリケーションからWebアプリケーションへ移行しました。
この移行プロジェクトでは、ReactJSとTypeScriptを使ってWeb HMIを開発しました。
この経験により、ARISはレガシーHMIのモダナイゼーションに、フロントエンド技術だけに注目するのではなく、画面システム全体の観点から取り組むことができます。
Equipment Control側の変更範囲は、各システムの構成に応じて個別に評価する必要があります。HMIの移行は、制御ソフトウェア全体の書き直しを当然に必要とするものではありません。
半導体製造装置のHMIは、状態表示や運用操作を支えるため、制御ソフトウェアと情報をやり取りする必要があります。
ARISが開発に参画したWeb HMIでは、画面層にReactJSとTypeScriptを使用し、Equipment Controlとの通信にはREST APIとWebSocketを使用しました。
各コンポーネントは、それぞれ異なる役割を担います。
画面の表示、ユーザー操作の受け付け、装置に関する情報の提示を担います。
装置の制御機能を担います。
Web HMIとEquipment Controlのあいだの通信の仕組みを提供します。
HMIにWeb技術を使うことは、リアルタイム制御のロジックをブラウザに移すことを意味しません。
産業装置のソフトウェア開発では、画面と制御コンポーネントのあいだの責任範囲を明確にするとともに、通信・統合・安定稼働に関する要件を検討する必要があります。
ReactJSとTypeScriptは、Web HMIの画面開発における一つの技術的な選択肢です。ただし、その適合性は、保守性、装置のライフサイクル、具体的な運用条件など、各システムの実際の要件に照らして評価する必要があります。
HMI開発における課題の一つは、装置モデルや製品バージョン、あるいは保守・運用・セットアップといった用途ごとに、画面を変えたいというニーズです。
従来の開発方法では、画面の変更にもソースコードの修正、アプリケーションの再ビルド、新しいソフトウェアバージョンのリリースが必要になることがあります。
ARISは実際のHMIシステムでEverything Configurableを実装し、設定に対応するよう設計したコンポーネントについては、アプリケーションを再ビルドせずに実行時に画面構成を変更できるようにしました。
画面のアーキテクチャでは、次のコンポーネントグループを使用しています。
これらのコンポーネントは、HMIの画面を構成・開発するために使われます。具体的な設定範囲は、システムの設計によって決まります。
適用する画面構成を決定するのはSystem Ownerです。具体的な運用上の役割、変更を行う権限、設定管理のプロセスは、各プロジェクトの要件に応じて定める必要があります。
Everything Configurableの特徴は、開発時に画面コンポーネントを再利用するだけでなく、実行時に設定を変更できる点にあります。
次の2つのケースは明確に区別する必要があります。
アプリケーションを再ビルドせずに実施できます。
ソースコードの修正や新機能の開発が必要になる場合があります。
つまり、Everything Configurableは、HMIのすべての機能をプログラミングなしで変更できるという意味ではありません。
装置メーカーは、新モデルの開発、機能の追加、顧客ごとの運用ニーズへの対応など、さまざまな要件に応じて画面を変更する必要が生じることがあります。
変更のたびに個別のHMIシステムを開発・維持していると、保守の負担は製品バージョンの数に応じて増えていきます。
実行時の設定に対応したHMIアーキテクチャは、既存の画面コンポーネントを活用し、設計された範囲内のカスタマイズ要件に対応しやすくします。
Everything Configurableの実装経験をもとに、ARISはHMIカスタマイズに次の2つの方向から取り組むことができます。
変更要件が、すでにサポートされているコンポーネントと設定の仕組みで実現できるかを評価します。
設定範囲外にあり、ソフトウェア開発として実装すべき新しい要件を特定します。
このアプローチにより、設定によるカスタマイズと、プログラミングによる機能拡張とを区別できます。
次世代HMIプロジェクトにおいて、ARISのFull HMI MigrationとRuntime Configurable UIの経験は、次の世代の装置の画面を設計する際に参考にできる技術的な基盤となります。
目指すのは新しい技術を使うことだけではなく、装置のライフサイクルに合わせて保守・継承・発展させられるシステムを構築することです。
半導体製造装置のHMI開発には、関連するソフトウェアやハードウェアのコンポーネントとの連携が求められます。
HMIに加えて、ARISはEquipment Control、Host Communication、Simulatorの共同開発や、SEMI規格に関連する技術要件への対応の経験を持っています。
装置ソフトウェアの開発過程では、多くのハードウェアモジュールを持つ大型装置をLab環境に完全に再現することは、現実的でない場合があります。
開発とテストを支えるため、ARISはお客様や技術パートナーと協力し、模擬ハードウェアモジュールや同等の機能を持つモジュールに、自動化ツールとAIを組み合わせたLab環境を構築しています。
統合力を示す一例が、EtherCATマスターと複数のスレーブを接続し、種類の異なるモーターの制御とテストを自動で行う環境の共同構築です。
この環境は、実際の装置と統合する前に、対象となるソフトウェア機能を検証することを支援します。
ただし、シミュレータやLab環境は、実機でのテストと検証を完全に置き換えるものではありません。
装置ソフトウェアシステムの複数のコンポーネントを開発してきた経験により、ARISはHMIの移行・刷新・カスタマイズのプロジェクトに、画面だけでなくシステム全体の統合性にも目を配りながら取り組むことができます。
必ずしも必要ではありません。
既存のシステムに適切な通信インターフェースがある、または追加できる場合は、Equipment Control全体を書き直さずにHMI層の移行を検討できます。
実際の変更範囲は、各システムの構成と要件によって異なります。
いいえ。
実行時の設定としてサポートするよう設計された範囲内の変更は、アプリケーションを再ビルドせずに実施できます。
新しい機能や設定範囲外の要望には、追加開発が必要になる場合があります。
適用する設定はSystem Ownerが決定します。
操作権限、承認プロセス、設定の管理方法は、システムごとの具体的な要件に応じて定めます。
画面の表示と操作の層には適している場合があります。
ARISは実際のWeb HMI開発でReactJSとTypeScriptを使用しました。
ただし、通信要件、性能、安定性、長期保守の観点から、システムごとに評価が必要です。リアルタイム制御の機能は、それに適したソフトウェアコンポーネントで処理する必要があります。
対象となる機能については可能です。
シミュレータやLab環境で、画面機能、通信、ソフトウェア統合の一部をテストできます。
実機での最終的な検証は、プロジェクトの要件に沿って実施する必要があります。
レガシーなデスクトップHMIのWeb HMIへの移行、装置GUIの刷新、実行時に設定を変更できるHMIの開発などをご検討中であれば、ARISは技術要件と実装方法について意見交換させていただきます。
最初のご相談は、次のような形から始められます。
目的、機能範囲、現行システムの技術的な課題を明確にします。
画面のアーキテクチャ、Equipment Controlとの通信の仕組み、移行が必要な範囲を確認します。
本格的な開発を判断する前に、適切な機能範囲で試験的に実装できるかを検討します。
ARISはお客様の情報セキュリティに関する要件を尊重します。システム資料、アーキテクチャ、その他の機微な技術情報をやり取りする前に、秘密保持契約(NDA)を締結することができます。
© 2011 ARIS Vietnam | All rights reserved.