ARIS VIETNAMは、エンジニアとAIエージェントを組み合わせたソフトウェア開発モデル「Hybrid Delivery Model(HDM)」を発表しました。AIの活用範囲を3段階で定義し、プロジェクトごとにお客様と協議のうえ決定します。
HDMは、すべてのプロジェクトに一律で適用するものではありません。AI活用範囲は要件整理・契約の段階でお客様と合意し、作業範囲(SOW)に明記します。AIを使用しない方針の案件については、ARIS VIETNAMのエンジニアのみで開発します(HDM-0)。
なぜプロジェクトごとにAI活用レベルを選択するのか
ここ数年、AIを活用したソフトウェア開発は、コードの一部を補完する段階から、コードベースを理解し、複数ファイルの修正やテスト実行まで支援できる「AIエージェント」を活用する段階へと進化しています。ARIS VIETNAMでは、こうしたAI技術を適切に活用することで、品質を維持しながら開発生産性を高めることを目指しています。
一方で、適切なAI活用レベルは案件ごとに異なります。早期リリースが求められる社内システムと、安全性・セキュリティ・性能に制約のある機器制御ソフトウェアとでは、課題の性質が異なります。すべてのプロジェクトに同一のAI活用方針を適用すると、スピードを重視する案件では十分な生産性向上が得られない一方、高い安全性や厳格な管理が求められる案件では、必要なリスク管理を十分に確保できない可能性があります。
そこでARIS VIETNAMは、ビジネスアナリスト、シニアエンジニア、AIエージェント/ローカルAIのR&Dチームが連携し、AIエージェントと人を組み合わせたモデル「Hybrid Delivery Model(HDM)」を構築しました。各プロジェクトの目的に応じて、ARIS VIETNAMが適した段階をお客様にご提案します。
Hybrid Delivery Modelの3段階
| 項目 | HDM-0 · Manual | HDM-1 · Assisted | HDM-2 · Accelerated |
|---|---|---|---|
| AIエージェントの活用範囲 | 使用しない | 限定的な範囲 | 広範囲で活用(管理・レビューを実施) |
| コード骨格・ボイラープレートの生成 | エンジニア | AIが作成、エンジニアがレビュー | AIが作成、エンジニアがレビュー |
| 中核となる業務ロジック | エンジニア | エンジニア | エンジニア |
| テストケースの作成 | エンジニア | AIが作成、エンジニアがレビュー | AIが作成、エンジニアがレビュー |
| 定型的なリファクタリング・バージョンアップ作業 | エンジニア | エンジニア | 範囲を限定してAIが実施し、エンジニアがレビュー・承認 |
| 技術ドキュメント | エンジニア | AIが下書き、エンジニアが編集 | AIが下書き、エンジニアが編集 |
| アーキテクチャ設計 | エンジニア | エンジニア | エンジニア |
| マージ承認 | エンジニア | エンジニア | エンジニア |
| 適した案件 | 機器制御ソフトウェア、安全要件のあるシステム、AI利用禁止ポリシーのある案件 | 一般的な企業向けシステム開発 | システム移行、基盤更新、定型的な作業量が多い案件 |
全段階に共通する4つの管理策
1. 利用可能なAIツールの明確化 案件ごとに使用を認めるAIツールのリストを、開始時に合意します。リスト外のツールは、案件のソースコードに対して使用しません。
2. データ保護・学習利用の制御 AIツールは、プロジェクトデータがモデル学習に利用されない設定で運用します。より厳しい要件をお持ちのお客様には、契約書に個別の条項を設けて合意します。
3. エンジニアによるレビュー・承認の徹底 メインブランチへの変更はすべて、AIが作成した部分かどうかにかかわらず、ARIS VIETNAMのエンジニアが承認し、承認者名を残します。自動マージの仕組みは設けません。
4. 監査ログの記録 AIエージェントを使用した範囲と時期を記録し、定期的な確認に用いるほか、お客様から監査の要請があった際に提供します。
3段階に共通する原則は、「AIで作成時間を短縮しても、人による確認・レビューは省略しない」ことです。これは、ARIS VIETNAMが提供するAI活用開発とセキュリティ実装のサービスにも共通する考え方です。ARIS VIETNAMの品質へのコミットメントとSLAは、選択されたHDMの段階によって変わりません。
HDMレベルの選定プロセス
- 提案段階: ARIS VIETNAMが3段階を説明し、お客様のシステムの特性やセキュリティ要件と照らし合わせます。
- 契約段階: HDMレベルと利用可能なAIツールを作業範囲に明記します。
- プロジェクト期間中: 選択した段階は、双方の書面による合意がない限り変更しません。
- 検収: お客様は、納品物の一部として監査ログを求めることができます。
プロジェクト全体で単一のHDMレベルを適用する必要はありません。同一プロジェクト内でも、工程や作業内容に応じて異なるレベルを柔軟に適用できます。
背景
2026年3月31日、総務省と経済産業省は「AI事業者ガイドライン(第1.2版)」を公表しました。第1.2版では、本編にAIエージェントとフィジカルAIの定義が追加され、別添には、意図しない注文やファイル削除などの動作、外部システムとの連携を通じた不正操作といった、エージェント特有のリスク事例が加わっています。
こうしたリスクに対して、ガイドラインは注目すべき3つの対策を示しています。連携するツール・システムをホワイトリスト方式で制限すること、判断が必要な事項を重要度に応じて整理したうえで人間の判断を介在させる仕組みを構築すること、処理の過程をログとして記録・保存し、定期的に確認・追跡できるようにすることです。
これらの考え方は、HDMにおける「利用可能ツールの管理」「エンジニアによるレビュー・承認」「監査ログ」とも共通しています。ARIS VIETNAMでは、HDMの設計にあたり、同ガイドラインを重要な参照枠組みの一つとしています。
適用開始
Hybrid Delivery Modelは、2026年9月以降に開始するプロジェクトに適用します。進行中のプロジェクトについては、変更を加える前にお客様と協議します。
貴社のプロジェクトに適したHDMレベルをご検討の際は、ぜひARIS VIETNAMにご相談ください。システムの特性、開発要件、セキュリティポリシーなどを確認したうえで、最適なAI活用範囲をご提案します。ARIS VIETNAMへのお問い合わせ
ARIS VIETNAMについて
ARIS VIETNAMは、ホーチミン市とハノイに開発拠点、東京にオフィスを構え、日本市場を中心にオフショアソフトウェア開発・DX支援を提供するIT企業です。OdooパートナーとしてERP導入支援も行っています。DXコンサルティング、受託ソフトウェア開発、Odoo ERP、QA・テスト自動化、クラウド・DevSecOps、セキュリティ・OTセキュリティ、SLAに基づく運用保守を提供しています。



